音楽療法スーパービジョン vol.2

 

皆様、寒中お見舞い申し上げます。世界的に厳しい冷え込みとなった地域が多いようですね。

 

今回の本会ブログは、“特別”、です!初めて、ゲスト(スタッフ以外の方)に記事を書いていただきました。今後はこのようなゲスト出演を増やしていく方向ですので、どうぞお楽しみに。

 

さて、今回は、昨年11月3日と4日に行われた、日本音楽療法学会主催「スーパービジョンについて学ぶ講習会及びシンポジウム」で、初日に通訳を勤められた木村有里さん(日本音楽療法学会認定音楽療法士・米国認定音楽療法士)に、この講習会並びにシンポジウムで講師の方々がお話されたことなどについて書いていただきました。

 

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日本音楽療法学会主催

「スーパービジョンについて学ぶ講習会および国際シンポジウム」

から学ぶ

 

 

昨年2012113日と4日の二日間にわたり、日本音楽療法学会の主催により、東京都の日本教育会館にて「スーパービジョンについて学ぶ講習会および国際音楽療法シンポジウム2012(東京)」が行われた。講師は、英国ノードフ・ロビンズ音楽療法センターのジャクリーン・ロバーツ氏(Jacqueline Robarts)と、米国ニューヨーク大学のスーザン・ファイナー氏(Susan Feiner)で、4日のシンポジウムには洗足学園音楽大学の岡崎香奈氏も加わった。

 

副題「スーパービジョンの場で何が起きるのか」からも示されるように、両氏は、スーパービジョンを「どう」行うかではなく、自身のスーパービジョンでの体験を語った。その経験や知識を、参加者と「共有」(sharing)し、個々の音楽療法士が、それぞれに合ったスーパービジョンを見つけるためのインスピレーションになりたい、と述べていた。


私はその資料の翻訳と当日の通訳の協力者として関わらせていただいたが、ロバーツ氏とファイナー氏は、日本の音楽療法の歴史と現状を学びながら、今の日本の音楽療法士が求めているもの、必要としていることは何かを検討し、当日の質疑応答を議題の中心にしようと計画していた。その結果、参加者とのやりとりがさかんに行われたので、そのいくつかをここで紹介したい。


スーパーバイザーがもつ課題について、ファイナー氏は、相手のスーパーバイジーの方が自分よりも年上で、優れた技術や知識を備えている場合を論じた。ファイナー氏は、その場合、自身の技術や知識を教えるのではなく、そのスーパーバイジーのもつ優れた技術や知識、豊かな経験が、どうしたら最大限に活かされるかを、スーパービジョンの中で模索すると述べた。


参加者の発言には、スーパーバイザーとしてスーパービジョンを行っていて、「つまらない(boring)」と感じる時がある、というものがあった。ロバーツ氏は、その時は、そのスーパービジョンにおいて、何か本物ではないものが入り込んでいることが考えられると述べた。スーパービジョンで深く感動することは、それほど頻繁には起こらないが、しかし、つまらないと感じる時は、何か大切なものから離れてしまっているのではないかと語った。


一方、スーパーバイジーに関する話題では、電話などで仲間に相談することはあるが、スーパービジョンとなると経験がない、といった発言に対し、ファイナー氏が、仲間同士で行うピア・スーパービジョンを紹介した。ピア・スーパービジョンでは、仲間と決まった日時を設定して集まることで、継続的な支援を受けられ、何か困難にあった時でも、今度のピア・スーパービジョンで相談しよう、というように計画が立てられる、という利点が説明された。


日本と欧米でのスーパービジョンの違い、また成熟した個人の捉え方の違いについても意見が交わされた。ロバーツ氏は、自分自身が日本でスーパービジョンを体験していたら、この講演も違ったものになっていただろうと述べた。ファイナー氏は、自分自身の経験を語ることしかできないが、それをどう捉えるかは参加者に委ねたいとした。


「富士山」と、ジャクリーン・ロバーツ氏は、スーパービジョンを例えた。晴れ渡った空の下、ラベンダーの花がふもとに咲き、その頂と山の端が手前の湖にはっきりと映っている富士山の写真を示したロバーツ氏は、このように富士山が見えるときもあるが、霧で見えないときもあると、参加者に語りかけた。スーパービジョンもまた、そこに何があるのか見えないとき、その先に何があるのかわからないときがある。わかったと思ってもまた見えなくなるときがあるという。スーパービジョンのプロセスは、見え隠れする富士山のようだと、ロバーツ氏は語った。私は、はっきりとした正解がなく、一進一退を繰り返しながら、気が付いたら成長しているという、その緩やかな人間の生きる過程を、ロバーツ氏の「富士山」に重ね合わせた。


ロバーツ氏の「富士山」も、先に述べたファイナー氏の「探偵」も、共に音楽療法のスーパービジョンでは、スーパーバイザーがスーパーバイジーに問題の解を与えるといった短絡的なものではないことを表している。この講演会とシンポジウムを通して、私はスーパービジョンとは、共に学び成長することそのものであると感じた。


日本音楽療法学会認定音楽療法士、米国認定音楽療法士、木村有里

 

 

ここでは、理論的なことよりもより基本的なことある、「スーパービジョンの概念」についてロバーツ先生とファイナー先生がどのように話されたかに焦点をあてて書いていただいていただきました。

 

本会スタッフも、これまでにスーパービジョンを受けたり提供したりして参りましたが、その大切さを身に染みて感じていると同時に、概念を説明する難しさをひしひしと感じています。そんな中、色々な喩えを使ってスーパービジョンがどんなものであるか語って下さった先生方のお話をここで紹介していただけたことは非常に有り難いです。

 

来月23日と24日には、日本音楽療法学会主催で別のスーパービジョンについての講習会が行われるそうです。申し込み期限は2月12日まで、開催場所は日本教育会館、と案内がありました。

 

「ここで一度前回(11月)のおさらいをして、2月の講習会に参加する、という流れを作れたらよいですね」と木村さんとお話し、今回記事を書いていただいた次第です。

 

本会ブログ内では、スタッフ小沼が「その26: 音楽療法スーパービジョン vol.1」で、自身の行っているスーパービジョンについて、スーパーバイジーからの言葉を含めて紹介していますので、ご覧になっていない方は是非お読みになってみて下さい。

 

本会のスーパービジョンのサービスについては今月中にこのウェブサイト上の「スーパービジョン」のページでアップデートされる予定です。このブログでも近日中に紹介させていただきます。


 

寒い日が続きますが、皆様お風邪などお召しになりませんようお気をついて良い週末をお過ごし下さい。

 


 

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