ブログその68:音楽療法士として幅広い視野の獲得の重要性について考えてみる

 

井上聡子

 

音楽療法の臨床では色々なテクニックや方法が使われています。その中から、私の受けた音楽療法教育のプログラムでフォーカスされていたものを書いてみます。

 

-歌詞の分析 (Lyric Analysis)

-歌を作る事: 作詞作曲  (Songwriting)

-音楽に合わせた運動 (Exercise to music)

-音楽によるリラクゼーション (Music relaxation)

-音楽によるイメージの導き (guided imagery with music)

-即興 (Improvisation)

-楽器演奏あるいは声の活動、音楽に合わせたダンスあるいは芸術表現  (Instrumental or vocal performance, dance or art expression to music)

-動機づけのための曲の選択 (Adoption of a theme song for motivation)

-音楽的文脈に沿ったロールプレイ (Role playing within musical context)

-協調性を養うための音楽活動 (Music activities to teach cooperation)

-余暇活動のスキル獲得のための音楽参加 (Music participation for leisure skills training)

-同質の原理による気分の変化 (Mood change via Iso-principle)

 

音楽療法士の方なら、この他にもまだまだ沢山のやり方が考えられると思います。

最近、「音楽療法」と言う言葉は、少しずつ世間の中で認知されてきたと思います。しかし、残念ながら、音楽療法士がどのように考えた上で音楽を道具として使っているのか、どうアセスメントをして、クライアント、患者または生徒の目的、目標を達成するためもしくは症状の改善維持をするために「療法」としてどのように施行しているのかなど、理論的な事はまだまだ知られていないのが現状だと思います。その要因として、音楽療法士自身が、自分に出来る事と出来ないことを明確に表現出来ていないからではないかと考えることがあります。

 

さて、ここで重要となる「視野の幅」について考えてみました。とかく私達は、自分の受けた教育や専門のみに目を向けがちであり、音楽の使い方やアプローチの仕方が的確でないことに気付かないまま実践をしてしまっていることがあるのではないでしょうか?音楽療法士が何を出来るかを明確にする前に、まず、自分自身の視野の幅について考えてみました。

 

私が音楽療法のインターン生だった時、私の観察力が未熟であったため、自分が良いと信じ込んだ音楽を提供した事により、明らかに子供達の状態は変化せず、逆に子供達のこだわり行動はエスカレートしてしまいました。そんな時、この音楽活動が悪い影響を与えていることはありませんか?あなたはどう思いますか?と、スーパ−バイザーの先生に問いかけられ、自分の視野の狭さに気付かされたのです。その先生は決して、私の選んだ音楽が間違っている、とは言いませんでした。しかし、 「子供達をきちんと見ていますか?」「音のタイミングや、提供するスピードが違うのではないですか?」と疑問を投げかけて下さり、はっとさせられました。

 

音楽療法士の視野の範囲や経験の範囲は、多くの場合、その人の受けた教育や勉強した技法などに影響されているのではないかと考えています。時に、特定の技法や音楽療法スタイルに拘ることで、固定観念に捕われてしまうこともあると思います。では、どのようにしたら自分の視野を広げる事が出来るでしょうか?

 

例えば、自分の専門分野以外の人の話を聞いている時に、その人が自分とは違う意見を言ったとしましょう。そこでただその意見に反発するのではなくて、「ああ、このような考えもあるのか。」、とか、「この人達は、こう考えるのか。」と、とらえると、おのずと自分の視野の範囲は広がらないでしょうか?視野が広がると、アセスメントでクライアントの状態を観察する時に先入観が取り払われると思います。

 

先入観なしの観察が行なわれると、次は、どのような音楽で、どのように目的達成の為のアプローチを実施すればよいかを考えますが、その時に沢山の引き出しから方法を選べると思います。この視野の広がりは、音楽療法という仕事をする上で大変重要だと考えています。音楽自体が複雑な構造を持つものであり奥の深いものであると考えると、仮にその使い方を間違えると病院で処方される薬と同じように、人にもたらす影響は多大であるといっても過言ではないでしょう。

 

音楽療法をもっと理解して利用してもらうためには、音楽のテクニックもさることながら、音楽療法士自身の幅広い視野の獲得と幅広い音楽療法アプローチへの理解は今後さらに大切になってくるのではないかと思います。私自身ももっと多方面のアプローチが出来るように、日々の経験と勉強を重ねていく事は必要だと考える今日この頃です。

 

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