高齢者への音楽療法&音楽プログラムを再考 その3 : 「英語で歌おう!」紹介

皆さまこんにちは。また少し間が空きましたが、高齢者音楽療法プログラム再考シリーズはまだまだ続く予定です。

 

第3回目となる今回は、東京の高齢者施設で実際に行われているプログラムを紹介します。

 

クライエントさんのちょっと意外な行動からヒント得て新しい音楽活動を思いつき、色々工夫をしながら成功させた分かりやすい例を、東京在住のマキさんが紹介してくれます。今回はこのブログをご覧の方々のために、プログラムの具体的な進め方まで丁寧に書いていただきました。

 

以下、マキさんからのレポートです。

 

20147月より、住宅型有料老人ホームにて常勤のレクリエーション専門スタッフとして働いています。勤務している会社の理念により、楽しく、充実した毎日を過ごしていただくため、365日、体操、ダンス、脳トレ、習字、ハンドベル、合唱、お茶会などをはじめに様々なプログラムを提供しています。

 

一般的には現在の8090代の方たちは英語に触れる機会が少なかった年代の方達かもしれませんが、わたしの現場では海外駐在経験のある方、英語を仕事で使われた経験のある方もいらっしゃいました。

 

ある日、90代の入居女性が、証城寺(しょうじょうじ)の狸囃子のメロディーを英語の歌詞で突然歌い始められました。歌われたのは、“Come Come Everybody” というラジオ英会話のテーマソングでした。その方は海外暮らしをしたことなどはなかったそうですが、好奇心旺盛な性格をお持ちだったのと、ある習い事の先生をしていたそうで生徒さんに外国の方がいらっしゃったこともあり、個人的に英語を勉強されていたようです。

 

住宅型有料老人ホームは自立の方から介護度の高い方まで、認知や身体機能のレベルは様々です。日々、レクリエーションを提供していく中で、認知レベルの異なる方が一緒に楽しめる活動を考えることが課題としてあがってきました。加えて、会社がこの数年取り組んでいるICF(国際生活機能分類)の考え方に基づき、能動的な活動を増やすことを目指していました。そのような折、前述の “Come Come Everybody” を耳にし、音楽と英語を結びつけるアイデアを思いつきました。

 

【具体的な活動内容の例】

準備物:プリント(テーマソングと今月のうたの歌詞と訳を記載。裏表で作成)、ギター

 

“Come Come Everybody”   

テーマソングとして歌唱

歌詞の音読

日本語訳と関連表現を学ぶ

 

“Love Me Tender"(今月のうた)    

今月のうたとして聴く

母音やラララで歌唱

歌詞の音読

日本語訳を学ぶ

歌唱

 

英語の歌詞に取り組む前に行った母音やラララでの歌唱は認知レベルに関わらず、多くの方が取り組みやすい活動です。自立の方は一般的な日本語の音読の活動では退屈されることが多く、参加率も低かったのですが、英語の歌詞の繰り返しでは退屈そうな様子はあまり見られません。

 

反対に、認知症のすすんだ方でも、単語のリピートであれば英語でも短いため参加していただけることが多いのです。英語に対する憧れのようなものや、新しく学ぶことにより知的好奇心が満たされることもメリットの一つと感じます。選曲には少しコツが必要です。メロディーがなじみのあるものであること、ひとつの音に言葉が少ないものであること、が取り組みやすい曲を選ぶ条件です。

 

 私は半年ほど前に社内異動し、現在は別の施設で働いています。現職場でも英語で歌おう!の活動を提案し、月に2回ずつ実施し始めました。参加率は比較的高く、参加者の方々からは好評を頂いています。今後は外国人ゲストを招いたり、発表会をしたりなどの活動も視野に入れつつ、英語で歌おう!を続けていこうと思っています。

 

 

以上、マキさんにご紹介いただきました。

 

 

高齢者だから、認知症だから、英語はNG、と決め込まずに、オープンマインドでクライエントさんに接しているからこその発想だと思います。

 

次回のこのシリーズでも新たなプログラムを紹介する予定です。どうぞお楽しみに!

 

 

↓クリックお願いします!

 

 

 

前号記事を読む<<<   >>>次号記事を読む