音楽療法士がベースを学びながら考えること

細江 弥生

 

最近、エレキベースの練習を始めました。

 

ベースという楽器には以前から興味はあり、音楽療法士としても「ベースが弾けたらな」と思うことは何度もあったのですが、ついに重い腰をあげてチャレンジしています。

 

今でこそ興味を持って練習しているベースですが、音楽療法に関わる前にエレキベースに対して抱いていたイメージは、「地味な楽器」「機械操作が難しそう」「重い」という、どちらかと言えばネガティブなものが多く、どこか遠い存在でした。

 

音楽療法を学び曲の構造などに注意を払うようになると、ベースの重要な役割が沢山見えるようになりました。ベースがある事によって音楽にグルーブや動きが出てきますし、ベースは音楽の枠組みを守る重要な役割をしていることなどに気がついたのです。

 

「ベースって音楽の中でとても大切な存在。それに、役割がなんだかセラピストと似てる!」と思ったのでした。

 

私たちセラピストは、安全な枠組みを音楽で作り、その中でクライエントに安心して自由に演奏してもらうことがあります。全体を見渡し安定して音楽をサポートするベースには、音楽療法士の姿勢と共通する点も多いなと感じています。

 

また、歌唱のためにピアノ伴奏をする時も、ベースラインを左手でどれだけ表現できるかで伴奏の質が大きく変わってきます。伴奏が上手な人に左手のコツを聞いたときに、ベースの音・ラインをどう使っているかが鍵だったことが何度もありました。

 

私は曲を聞く時にメロディーばかりに気を取られ、ベースに注意を払っていない事が多いようです。

 

ベースを演奏する音楽療法士さんが、よく曲を聞いているときにベースに音を聞いて音を再現している様子を見て、「同じ曲を聴いていても、私とは聴いている箇所が違うんだな」と思いました。

 

「ベースの音をしっかり聴いて再現できるようになりたい」と思ったのも、ベースを始めた理由です。

 

過去に、バンド演奏に興味があるクライエントさんや、ギターなどメロディー楽器を弾くクライエントさんと合奏をする時に、自分がベースで音楽をサポートできたらなあ、と思うことが何度もありました。キーボードで弾くことも可能ですが、曲によってはベースがあった方がカッコよく、クライエントさんのモチベーションも上がりそう!と思うのです。

 

ベースを弾きたいというクライエントさんにも出会い、施設に楽器はあるものの、接続や操作方法がわからない為に弾く機会を提供できなかった事もありました。自分が習ってみると、ベースのセットアップは意外にシンプルです。いつも思いますが、「初めてのことはとにかく必要以上に難しく感じ抵抗してしまう」の典型的な例でした。

 

Music Fits Japan YouTubeチャンネル「音楽療法研究所」のショート動画で、ベースの練習を時々アップしていますので、応援よろしくお願いします。そして、一緒にベースを始めてみませんか?

 

そして、「音楽療法でベースがこんな風に活用できるよ」「こんな事をしてみたよ」というエピソードがありましたら、シェアしていただければ嬉しいです。

 

 

 

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