その24:音楽療法とメディアの裏話

 

中井弥生

 

 

「音楽療法かけはしの会」ニュースダイジェストや私のツイッターでもたくさんの音楽療法に関するニュースを紹介させていただいています。今回は音楽療法とメディアの裏話を取り上げてみたいと思います。

 

私も以前の職場でいくつかの取材を受けたのですが、完成するまではどこの部分が取り上げられどこの部分が削られるかが観るまではわからないというのがいつも不安の種でした。数時間取材を受けた物でも完成品は分となり、音楽療法の説明はほとんど省かれ歌う映像だけが映し出されたりという物もあります。

 

これは小さな間違いなので本気で怒る人はいないのですが、アメリカの音楽療法士達の間でジョークにもなっているのが、たまに音楽療法と音楽療法士が「ミュージカルセラピー」「ミュージカルセラピスト」と呼ばれてしまう事です。

 

これくらいの間違いは気にならないのですが、たくさんのビデオを見ていて音楽療法について良く映っているな〜と思う動画では音楽療法士たちは必ず

 

「音楽がどう有効なのか」

 

と言う事を話しており、それに沿ったセッションの様子が映し出されているのに気づかされました。

 

「こういうゴールをしている」

 

という説明も良いのですがそれだけだと結局「他のセラピーでもそういうゴールができるよね。音楽療法はどう違うの ただ楽しいだけ」という印象を与えてしまう可能性があると思うのです。

 

 

今回つのビデオを「音楽療法士」の視点から比べてみたいのですが、恥ずかしながら私が少しでているビデオを失敗例としてまずみてみます。

 

ソースノースウェスタン大学記念病院 

 

これはシカゴのノースウェスタン大学記念病院でのパーキンソン病の方達のためのサポートグループで、月二回音楽療法とドラマセラピーを行っていた時の物です。病院のウェブサイトにこのグループを宣伝するためにビデオが制作されたので、音楽療法、ドラマセラピーに焦点というよりは参加者の方に焦点を当てています。

 

そういった趣旨の元作られたので、普段私がツイッターで紹介している音楽療法に関するニュースとは少し違いますが、例えばこのビデオを音楽療法を紹介するニュースのビデオクリップの一つとして考えてみましょう。

 

まず、呼吸のエクササイズや声を伸ばすエクササイズ等は全く映し出されていません。かろうじてコーディネーターであったソーシャルワーカの方がリズムとスピーチの関係について話してくださっている部分と彼女は音楽療法を大変良く理解してくださり、私が行うエクササイズの意図をいつも的確につかんでいてくださりました歌う前にリズムを取りながら歌詞を読む速度を落とし一定のリズムで大げさな感じで発音すると明瞭さが良くなるとリサーチでは言われています部分が少し映し出されています。


ドラマセラピーに関しては、彼は顔の表情、声の強弱、病気になってからの葛藤や思いをドラマの中で表現し、グループで一緒にプロセスしていく事等を行っていましたが、そのような内容は全く伝わっていません。サポートグループの雰囲気が伝わるものの宣伝に作られたのでこれが重要だったのでしょう音楽療法やドラマセラピーがどうして有効かという部分はあまり伝わってこないですよね。

 

次に私が少し良いなと思うビデオクリップです。

フロリダで同じくパーキンソン病の方達のためのサポートグループ内での音楽療法の様子です。

 

http://www.floridahospitalneuro.com/news/press-releases/treating-parkinsons-disease-music-therapy

 

ソースフロリダ病院ニューロサイエンスインスティテュート

 

 声を伸ばすエクササイズや音域を広げるためのエクササイズが、参加者の方達が親しみのある歌を使って行われている様子がうかがえます。脳と音楽に関しては「脳の様々な部分を活性化し、新しい神経経路を作り出すと言われている」と音楽療法士の方が言っていますがやはり少し説得力が弱く、最後にニュースキャスターの方が言っている、「音楽は右脳を活性化するので左脳も刺激する事ができると言われています」

というコメントもこの音楽療法グループとはあまり関係なく、さらには少し古いリサーチをもってきてしまったようです。音楽は右脳、左脳と分けられるものではなく、脳の全域に音楽と反応する部分が点在しているというのが最近では定説となっていますものね

 

 

最後に私が最も好きと言えるメディアで放送された音楽療法動画の一つです。

 

http://www.thedenverchannel.com/health/28183189/detail.html

 

ソースABCニュース デンバーチャンネル 

http://www.thedenverchannel.com/index.html

 

 

コロラドの病院で働くサラさんには私もコンサルテーションをしていただいた事があり、知識と経験があるとても素敵な方です。

脳梗塞後、歩行が困難になった方のリハビリの様子が描かれています。

彼女やリポーターが音楽療法の有効性について話している部分をまとめてみると

 

、脳がダメージを受けても音楽に反応する部分はまだ機能していることがある

 

、一定で予想可能なリズムが理学療法のエクササイズを効果的にするために利用されている。

 

、私たちの体と脳は、リズムに反応する神経回路で強くつながっており、リズムによって動きがスムーズになる。

 

、楽器が視対象となり、また感触、聴覚的フィードバックとなり体に帰ってくる。

 

、モチベーションはもちろんの事、感情や幸福感を感じる脳の域も音楽によって刺激される。

 

と、この短い間に実につもの点を上げています。

動画で映し出されているセッションもリハビリテーションの現場でよく使われている手法が映し出され、さらには患者さん自身が「自分の中に伝わってくるリズムに体が反応しているのを感じる」とコメントしています。

 

音楽療法士が的確に「音楽療法の有効性」を語り、リポーターもそれにそったコメントをし、例となるセッションの様子も映し出され、そして患者さんも音楽療法がどう自分に有効か理解し、それについてのコメントをしているという、とてもきれいな形に仕上がっている動画だと思います。

 

このように同じ分のビデオで似たようなセッティングと手法を用いた音楽療法を映像にしても違いがこんなにもでる事があるのだな、と比べてみて自分でも驚いています。

 

 

音楽療法士の目線から見てみたので、もしかしたら一般の方から観ればどのビデオも同じようにとらえてもらえるのかもしれません。しかし、自分の職業についてできるだけ正確に一般の方に知ってもらいたいと思うのは皆さんも同じではないでしょうか。

音楽療法がメディアにどれだけ露出しているかは、世の中で音楽療法の認知度を計るひとつの目安となりますが、量だけでは本来の姿が十分伝わらないこと、また質の良い物をどうやったらうまく伝わるよう配信できるのか、その難しさを実感します。

自分自身もっと音楽療法を理解し実践を積んでいく事、正しい情報を短い間にうまく、そしてわかりやすく伝える練習、依頼を受けた場合は依頼主との意思疎通をもっと図り、相手側の音楽療法に対する理解も深めてもらって一緒に良い物をつくっていく協力体制作りなどが重要になってくると思います。

 

「音楽療法かけはしの会」でもメディア業界とのコラボレーションを活動概要に含んでいますが、こういった点を考えながら前に進んでいけたらなと感じました。

 

 

皆様よい週末を


 

 

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コメント: 6
  • #1

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