音楽療法スーパービジョン vol.1

小沼愛子


 

今回は私がスカイプで行っている音楽療法スーパービジョンのケースについて少し書いてみます。

 

まず最初に、このケースのスーパーバイジー(スーパービジョンを受ける人)からの許可を得て、その方のコメントなどこのブログに書かせて頂いていることをお知らせします。(この許可なしに、スーパービジョンの内容、スーパーバイジーの言葉などを第三者に話したり公の場で書いたりする事はスーパービジョンの守秘義務に反する為許されません。)

 

このスーパーバイジー(以下Aさん) はヨーロッパ某国に住む、その国出身のプロの音楽療法士です。私とは4年ほど前にある音楽療法の学会で知り合い、その後、私の職場に彼女が見学に来た経緯などがあり、昨年このスーパービジョンの依頼を頂きました。最近になってAさんからこのスーパービジョンが彼女にとっていかに重要なものかコメントを頂いたので、ここでその一部を紹介させていただきます。

 

「私が大学院生だった頃にはスーパービジョンを受けていたのですが、その後プロの音楽療法士として病院で働き出してからその機会はなくなりました。過去に参加した音楽療法の学術大会でスーパービジョンの重要性を再認識したのですが、自国ではなかなか良いスーパーバイザーを出会うことが出来ずにいました。しかし、今回新しい仕事を開始するにあたって再度スーパービジョンを受ける事を心に決めスーパーバイザーを探し、運良くこのスカイプでのスーパービジョンを始めることが出来たのです。 

 

このスーパービジョンを通して、スーパーバイザーは「私が音楽療法士として、時には一個人として、自分の抱えている問題にどう立ち向かうか、いかに準備するか、それらを整理してどう自分なりのゴールを設定し 追求することなど」をサポートしてくれます。

 

例えば「何をしなさい」と具体的に指示をされるのではありません。スーパーバイザーは辛抱強く私の話をよく聞き、「このような時あなたはどうするか?どうしてそうしたのか?」などの質問と共に考えることを促し、威圧や強要することなく、私のひとつずつの行動について、まるで鏡を見ながら確認するような作業を一緒にしてくれます。そこで気持ちを落ち着かせ自分を見つめ直すと同時に、音楽療法という仕事をボジティブに捉えることが出来ます。

 

私はスーパービジョンが音楽療法士にとって重要であると理解し、世界中の多くの音楽療法士や音楽療法を勉強する学生達にスーパービジョンを受けることをお勧めします。」

 

 

このコメントを読んで、私は自分がスーパーバイザーとしての役割を、Aさんの表現している「鏡を見るように」学び直している気持ちになりました。私自身が過去に(スーパーバイジーとして)スーパービジョンに求めてきたことやそこから得た事が、自分のスーパービジョンの在り方に如実に現れていると自覚もしました。そして、これまで私に素晴らしいスーパービジョンを提供してきれくれた音楽療法士達に、改めて感謝の気持ちで一杯になりました。

 

ここで言うスーパービジョンとは、スーパーバイザーによる個人講義ではなく、スーパーバイジーの欠点を指摘や批判することでもありません。また、両者の関係はいわゆる師弟関係ではありません。基本的には対等であって、スーパーバイジーは自分の悩みや問題点だけでなく、自身の意見や考えを話すことも促される場合もあります。しかし、ただ意見交換して終わるのではなく、スーパーバイザーはスーパーバイジーの自己洞察力を高める助けをし、自分で考えて計画、選択、行動、追求する力を養うサポートをし、思いつく限りの可能性を示唆するのが役割だと考えています。

 

場合によっては具体的なアドバイスをしたり音楽療法のテクニックを紹介したりすることもあります。その場合、それに従うのが前提ではなく、あくまでスーパーバイジーの意志でそのアドバイスを選択するかどうか決めていく、ということが大切です。「じゃあ、これはどう?」という感じで違ったアイディアを提案してみるけれど、それをどう扱うかはスーパーバイジーの選択、ということです。

 

スーパーバイジーは次のミーティングまでに挑戦、または達成することを宿題として与えられることもあります。逆に、スーパーバイザーである私に知識が足りず、「宿題」として勉強しなければならないこともあります。このような場合、スーパーバイザーは真摯にそのトピックを追求する姿勢を持つ事が大切であると考えています。その姿勢こそが「鏡のように」スーパーバイジーに伝わることであるとも思います。

 

 

スーパービジョンは私達音楽療法士にとって大きなトピックですから、今後このブログでも取り上げることも増えそうです。私はAさんの意見に賛成で、音楽療法士はプロになっても必要に応じてスーパービジョンを受けることが大切だと考えています。私自身、スーパービジョンなしではここまで進んで来られなかったと自覚してもいます。

 

Aさんからのコメントを受け、「スーパービジョンを受けてみたい気もするけれどどんなものか分からなくて躊躇してしまう」と思っている方々へ、少しでもイメージが伝われば、と思って書いてみました。