この3年を振り返って

小沼愛子

 

東日本大震災、福島第一原子力発電所の事故発生から3年が過ぎました。

 

この震災と関連の事故で犠牲となられた方々に哀悼の意を表します。また、現在も避難生活を余儀なくされている方々の生活が一日も早く安定されることを心から願っています。

 

3年前を振りかえり、「音楽療法かけはしの会」の設立時のことを思い出してみました

 

思えば、これまでこのブログにも他の場所にも、当時の自分のことを書いたことはありません・・・

 

 

3年前の3月11日、私はこの場所、ボストンで震災が起きたことを知りました。

 

金曜日の朝でした。

 

アメリカ人の友人数人から「日本で大きな地震があったそうだけれど、家族や友達は大丈夫?」と携帯メールが届き、慌ててテレビをつけました。その瞬間から、ニュースで流れる東北の光景に釘付けになりました。

 

仕事以外一切の予定をキャンセルし、週末であったことも手伝い、家に籠ってテレビとインターネットのニュースにかじり付いていました。英語でも日本語でも、関連のニュースがあればひたすら見続けました。「見続ければ精神的にマイナスの影響を受ける可能性が高い」という心理学的知識があっても、出来るだけ状況を理解したいという気持の方が完全に勝っていました。

 

もうひとつ、当時私が付けっぱなしにしたものが「スカイプ(無料インターネット電話)」です。

 

日本の友達が話したいと思う時にいつでも話せるよう、常時オンにしていました。メールや電話でのやり取りも沢山ありましたが、これは無料ということもあって非常に役立ちました。

 

震災の犠牲者名簿に知り合いの名前がないか目を通す時には毎回体がひどく硬直するのが分かりました。知り合い達から無事とメールが届く度に安堵して涙が出ました。

 

その後、出来ることを少しでも、と、複数の支援ボランティアに参加しました。チャリティーコンサートの手伝い、募金の手伝い、日本とアメリカ間の文書の翻訳など、色々なことをしました。

 

この地域だけでも本当に沢山の支援活動があって驚くほどでした。

 

日本から遠く離れている分、想いがつのって、「何かしたい・しなければ」という、皆さん懸命な気持での活動だったのではないかと思います。

 

ボランティアやチャリティの活動内容は実に様々でした。活動方法に同意出来ず、参加を中断したこともあります。そんな時には本当に悲しくなりました。

日本や被災地を想う気持は同じでも、やり方がそれぞれ違っているのは当然なのかもしれませんが・・・複雑な思いと共に、自分の無力さを思い知らされる日々でもありました。

 

大きな活動は今の自分には難しい。だから、確実に出来ること、続けられることをしよう。と、はっきり考えがまとまっていきました。

 

まずは身近な人達のサポートをしっかりすると心に決め、スカイプはその後も付けたままにして、話しがしたい知り合いがいれば出来る限りの時間をさいて対応し続けました。

 

 

そんな中、現在の「音楽療法かけはしの会」のスタッフメンバー達とも交流が深まり、震災から約3ヶ月後に、この会が発足しました。この会はその頃同じ気持を持った人の集まりであり、今でもそこを基本に活動しています。私達と同じように思っている方々との繋がりは、非常にゆっくりであるかもしれないけれど、きっと広がっていく、と私達は考えています。

 

私個人は、「私がサポート出来る音楽療法士はたった数人かもしれない。しかし、その音楽療法士達が沢山の人達をサポートするのだから、間接的であっても支援につながる。直接被災地に行って何か出来るわけでなくても、遠くからでも出来ることは必ずある」と信じて、「小さくても地味でもいいから自分に出来ること」を続けてきました。

 

 

震災から4ヶ月後、私はひとりで宮城県の被災地を訪ねました。

 

かつてよく知っていた土地であり、沢山想い出のある場所です。

 

変わり果てた風景を目の前に文字どおり「立ち尽くす」だけでした。

 

しかし、その時の気持ち、脳に刻まれたその風景は、3年近くたった今も色あせず鮮明に残っています。

 

 

復興や被害者の生活支援に関して今もなお問題が山積み状態である現状を見聞きする度に悲しく何ともいいようのない複雑な気持になりますが、よい方向に向かうよう、私達ひとりひとりがあきらめず、疑問を持って考え、話し合うことは大切なのではないかと思っています。音楽療法士に出来ることは少ないように思われるかもしれませんが、普段からの交流でお互いをサポートしあっていくことで、いざという時に出来ることが必ずあると考えて行動し続けた3年間でした。

 

 

そして、昨日のことです。

 

震災以来、様々な問題について話し合ってきた友人からメールが届きました。

 

「あの震災から3年です。あなたの存在に感謝します。」という内容でした。

 

 

実はこれまで、どうしても上手く表現できないことがある気がして、震災関連のことは書くことが出来ないでいました。しかし、このメールに背中を押され、自分の気持や経験を少しでも書いてみよう、と気持が動いたのです。

 

 

そう思わせてくれる人がいること、そして、そう思った時に書ける場所があることに本当に感謝しています。

 

 

このブログをお読み下さっている皆様、いつも本当にありがとうございます!

 

 

これからも「音楽療法かけはしの会」をよろしくお願いします。

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    出田 和泉 (火曜日, 11 3月 2014 23:10)

     本日のブログを感慨深く読ませていただきました。

     私は3年前、小沼さんにサポートをしていただいた者の一人です。

    「まずは身近な人のサポートをしっかりする」という小沼さんの精神と実行力は、3年経った今でも私の大きな支えになっています。

     ありがとうございました。

     

  • #2

    小沼愛子 (火曜日, 11 3月 2014 23:17)

    出田さん、メッセージありがとうございます。

    実は、恐る恐る書いたブログだったので本当に励まされます。

    これからも同じ気持ちでも、離れていてもお互いにやれることを続けていきたいですね。