日本難病医療ネットワーク学会 学術大会リポート2

 ↑ 桜島。会場のすぐ近くでした。
 ↑ 桜島。会場のすぐ近くでした。

細江弥生


前回に続き、「難病医療ネットワーク学会」参加リポートです。

 

私は今回「難病患者にとってのソングライティング」ついて発表してきました。


リハビリ病院において「機能回復」は大事な事で、もちろん私も日々の臨床で重点を置いている視点です。しかしながら、それと同時に、回復または病気が進行していく中で「気持ち」がどうしてもついてこないという患者さんも多くいらっしゃいます。

 

このように「身体」と「気持ち」が解離していく状態はアンバランスで良くありません。「心」にも目を向け、一緒に回復へのサポートを行う事も音楽療法の重要な役目ではないかなと、私は日々感じています。


そんな中、「ソングライティング」が患者さん達の自己表現の機会となり、曲を作っていく中で自身の内面を見つめ、気持ちを確認しながら病気の受容や変容のプロセスが行われていく様子を多く目撃したので、今回まとめて発表させていただきました。発表後、ALSの患者さん達と接する事の多い医師と「気管切開をした患者さんとのソングライティング」について少しお話ししました。私はALSの患者さんとの経験がないのですが、「声」を失った後だからこそ「音楽という非言語的な道具」を使用した自己表現は重要な意味を成すのではないかと、何か今後自分自身にできる事はないか、考えるきっかけをくださりました。

 

私が発表をしたセクションは、リハビリ病院で働くセラピストが多かったので、内容もそれぞれの専門分野の話が多いのが特徴的でした。そんな中、一番最後に医師から

 

「セラピストの皆さんは自分の専門性に閉じこもりすぎずに広い目で難病患者さんと関わってほしい」というコメントがありました。

 

看護師さんたちの発表をみていると確かに感じます。看護師さんの支援方法は多岐にわたり、医療の専門家でありながら介護や精神的サポート、そして制度など手続き的な過程もサポートします。セラピストはそれぞれに専門領域が有るからこそ力が発揮されるという長所もあります。

 

しかし、患者さんの人生を丸ごとサポートするという時に「自分の専門職にとらわれすぎる」と、患者さんの人生の全体像を見失ってしまう危険性もあると思うのです。専門的スキルや知識を持っていながらも、それに固執したりとらわれすぎない事がいかに大事か、そして他職種とチームとして一緒に患者さんをサポートしていく体制に音楽療法士も入り込んでいく必要性を考えさせられました。

 

最初は「第2回目のまだ新しい学会で大丈夫かな?」という思いがありましたが、新しいからこそ革新的でオープンなこの学会は大変すばらしいものでした。歴史が浅くともすばらしい研究会や学会が有る事を今回は思い知りました。これからもどんどん、そんな「集まり」を発見して、新たなすばらしい出会いに繋げていきたいなと思います。

 ↑  名物、黒豚黒酢丼!
 ↑ 名物、黒豚黒酢丼!

余談ですが、今回の学会で偶然にも十数年ぶりに大学時代の友人に遭遇しました。社会福祉学部卒業ですので、もちろん友人達はソーシャルワーカー達として参加し、私は音楽療法士として参加していた事になぜか不思議な気持ちになりました。ソーシャルワーカーにならなかった事は後悔していないのですが、どこか自分の中でひっかかっていたのかもしれません。職業は違っても同じフィールドで友人達と再会した事で、自分のそんな気持ちに整理がついた気がしました。

 

学会が行われた「かごしま県民交流センター」は桜島の近くにあり、お昼休みに壮大な桜島を見る事もできました。薩摩の国はあったかく、雄大で、歴史の深さを感じる素敵な町でした。今度は是非観光でも訪れたいなと思います。

 

 

来年の「日本難病医療ネットワーク学会」は仙台で行われるそうです。

 

参加費は数千円とお手頃なので、お近くの方は是非参加してみてください。

 

 

 

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