「Disaster =災害」とは決めつけられない理由@PFA

 

小沼愛子

 

 

前回ブログ「サイコロジカル・ファースト・エイドと音楽療法」の続きです。

 

前回、「disaster(そのまま日本語に訳すと「災害」となる)」という単語について少しだけ触れましたが、今回は私が何故この単語を「非常事態」と訳したのかお話したいと思います。

 

今回のトレーニングの講師、バーバラ・エルス氏のこの単語についての説明は、私にとって非常にしっくりくるものでした。

 

この時紹介された彼女なりの定義をざっと訳すと、Disaster とは、自然もしくは人為的要因によって生じる、人々の日常生活状態や環境にマイナス影響を与えるインシデント(出来事)である。となります。(これは2009年に彼女の書いた文献に載っている、とおしゃっていました。)

 

この説明の後、エルス氏は、「例えば、家が火事になって消火活動のためにコンピュータや仕事で必要な書類などがダメなってしまった、というようなことでも、“個人レベルでのdisaster ”と考えます。」と例を出してくれました。

 

これに従うと、「大切な人を不慮の事故で亡くした」、「仕事現場でミスが起きて大怪我を負ってしまった、もしくは取り返しのつかない事故となってしまった」なども個人レベル、会社レベルでのdisaster となるわけです。

 

 

  PFA(サイコロジカル・ファースト・エイド)は、決して「多くの人が巻き込まれる大災害時のみに使える」ものではなく、「個人レベルでの非常事態においても利用できる可能性が大いにある」ということをエルス氏は強調したかったのだと思います。

 

また、このトレーニングでは、「準備」の大切さが繰り返し説明されていました。常に心の準備が出来ていること=どう行動するか明確であることなどの重要性には、うんうん、と頷きながら聞いている参加者も多かったです。

 

 

前回紹介した「兵庫県こころのケアセンター」さんのPFA日本語版のリンクを再度貼りますので、まだご覧になっていらっしゃらない方は、是非お読みになってみて下さい。

 

http://www.j-hits.org/psychological/index.html

 

ざっと目を通すだけでも、「ああ、なるほど」と思われることがあるかもしれません。

 

日々の臨床や生活の心構えに役立つことがある、と、前号を読んで下さった方々からお声を頂いています。

 

臨床や教育の現場では、個人レベルのdisasterに遭遇することが日常的にありますから、それを考えると、このようなご感想をお持ちになっていただいたことは納得できるものではないでしょうか。

 

災害時のトラウマケアに関わる音楽療法士だけでなく、すべての音楽療法士、ケアギバー、教員の方々に目を通していただきたいと思う気持は、こうした経緯からきています。

 

 

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