「パーソナル・ソング」について訊きたかったこと

小沼愛子

 

前回に引き続き、映画「パーソナル・ソング」について、AMTA学術大会で聞いたことを中心に書いてみます。

 

と、その前に・・・

 

この連載の最初に載せたビデオを観る事が出来ない、とお知らせをいただいたので、私が観たものとは違うビデオですが、こちらにこの映画の広告ビデオのリンクを貼っておきます。(またリンク切れなどあったらお知らせお願いします!)

 

http://officiallist.videotopics.yahoo.co.jp/video/cinematoday/10026/

 

そして、以下が「パーソナル・ソング」のフェイスブックのページです。

https://www.facebook.com/personal.song.jp

 

コーエン氏のお話によると、現在、Music and Memoryの活動=ipodにカスタマイズされた音楽を入れて認知症患者に提供する、というものは、現在8カ国、850以上の施設にまで広がっているそうです。設立3年ほどのNPO団体がここまで活動を広げられるのは大飛躍だと思います。

 

お話から、コーエン氏が全身全霊を注いでプロジェクトを成長させてきたことが伺えました。音楽の力を認識し、一人でも多くの認知症患者にそれを届けようとする意志と行動力は素晴らしく、音楽療法士の私達も見習うべき部分があると感じました。

 

さて、このフォーラムでは様々な質問が持ち上がりましたが、最も議論が盛り上がった質問のひとつが、 Music and Memory のスタッフとして活動する人達はどんなトレーニングを受けるのか?」というものでした。

 

お答えとして、コーエン氏は、ipodipadが使いこなせるようになる事、脳と音楽の研究について勉強する事、医療現場での常識を理解する事などを上げられていました。 しかし、あまり詳しいお話はきけず、かつ、明確なプロトコル(施術計画)は作成されていないとのことでした。

 

また、トレーニングを受けた人達を Certified 、という言葉を使って表現しているけれど、その言葉自体が混乱を招きやすいものなので、全体的に不明瞭な感じになっていると思う、という意見も聞かれました。

 

このような、音楽療法ではないけれど、音楽を使った認知症患者へのサービス拡大を歓迎する、というパネルのスピーチもありました。また、ある若い音楽療法士が 、「音楽療法士を、あなたのプロジェクトのコンサルタントとして雇う形態をお勧めしたいと思いますが、この考えについてどう思いますか?」と 具体的なアイディアを上げ、「そう出来たら嬉しいですね」とコーエン氏が答えて拍手が出たりする瞬間もありました。

 

質問は時間ぎりぎりまで続き、90分のフォーラムはあっという間に終了しました。

 

私個人はコーエン氏に以下の2つも質問したかったのですが、時間切れでそれは叶いませんでした。

 

「音楽を利用する事へのリスク(副作用的なこと)についてどう対応していますか?」「また、ヘッドフォンを使うというのは、自分でヘッドフォンを外せない患者にとっては半ば強制的な行為になるとも思いますが、どうお考えでしょうか?」という質問です。いつかまた同氏にお話を伺えるチャンスがあることを願うばかりです。

 

後半、会場内にいたどなたかの次の発言に、私は心から同意しました。

 

「音楽療法をいうものがまだまだ世間で知られていないため、音楽を使った活動と音楽療法の違いというものは簡単には分かってもらえない。だからこの件はこんなに混乱を招いていると思う。」

 

その通り、と思ったのです。

 

だからこそ、私達一人一人がこういった話題に関心と疑問を持ってディスカッションし音楽療法について理解を深めた上で、音楽療法についてご存知ない方々に伝えていけるようになることが大切だ、と改めて感じました。

 

この映画についてはこれからも色々な場所で議論があると思いますが、実はこれは、「音楽療法とは」を今一度考える、とても良い機会になるのでは、と捉えています

 

音楽療法を教える先生方や学んでいる生徒さん達にはクラスルームで、研究会や勉強会などなさっている方々はその会の中で、今回の事例についてオープンなディスカッションが生まれたら素晴らしいですね。是非話題に上げてみていただきたいと思います。

 

また、今回のブログにご意見等がありましたら、下のコメント欄に書き込んでいただけますので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

最後になりましたが、このAMTA学術大会の開会式では、この映画以外に、「音楽療法」を取り扱った新しい映画2本の紹介があったのです!

 

 

 音楽療法界は、かつてない映画ブーム!?の予感・・・

 

 

その新しい映画の話題も含め、次回からはAMTA学術大会のリポートをお送りします。

 

 

 


 

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コメント: 4
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