なにをもって音楽というのか?その2

小沼愛子

 

前回からの続きです。が、冒頭から少し脱線します。

 

前回触れたアメリカンアイドルという番組について全く知らない、と読者の方が多く、いまひとつピンとこない印象があったようです。そのため、少しだけこの番組がどんなものなのか紹介します。

 

「アメリカンアイドル」はアメリカで大人気となった公開オーディションTV番組で、6ヶ月に渡る激戦を勝ち抜いた優勝者達のメジャーデビューは当たり前というだけでなく、その後何度もグラミーを受賞した人達がいるほどの実力派人気歌手を輩出してきた、業界への影響力もあるものです。2016年に番組打ち切りとなったのですが、なんとテレビ局を変えて(Fox からABCに移行)早々に復活が決まったそうです。

 

勝ち残った人の多くが歌謡界で大活躍するレベルの番組のオーディションに、「誰でも参加できる」というのも、この人気の一つであると思います。そして、その特徴がゆえに、オーディション参加者のレベルは非常に幅広く、今回のオーディション会場で私が耳にした「It’s not music」というコメントが示すように、とても音楽とは思えない??ものまであるわけです。

 

 

 

「音楽とは、音を楽しむこと」という解説を見聞きしたことのある方は多いと思います。「日本語で“音を楽しむ”と書くから」という理由からの定義です。

 

上のオーディションの例をここに当てはめて考えると、周りで聞いている人にとって not music だった声も、声を出している本人がそれを歌として楽しんでいたのであれば、「それはその人にとって音楽である」ということになります。この考えからいくと「どこからが音楽か?」は極めて主観的な判断に基づくもので、明確な線引きはできないことに気がつきます。

 

「音楽とは何か?」という疑問について、一定の基準のようなもの(“音”が基本材料で、それをどう組み合わせるか、など)は存在しているものの、明確な説明は困難であり、現在でも音楽の定義についての議論は様々な場所で見かけます。私個人は自分にとって新しい説明や見解を知るたびに色々と納得し感心したりするのですが、「どこからが音楽か?」については、やはり主観的な部分が大きいと感じることに変わりありません。

 

この定義すら困難な媒体を、療法において効果的に使用するのが音楽療法という職業です。

 

音楽療法士の皆さん、「音楽って何?」「何をもって音楽というか?」を考えたことはおありでしょうか?自分が道具として取り扱うものが一体何であるか、あらためて考えてみることは大切かもしれません。

 

 

この続きは今週中にアップ予定です。

 

 

 

 

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