特別なクリスマス・キャロル 〜メアリ–さんのピアノ#6〜

小沼愛子

 

日本はもうクリスマスですね。

 

こちらアメリカは現在クリスマスイブです。私の住む地域は日本と14時間の時差(遅れ)があります。

 

メアリーさん宅で家族や親しい友人を集めての毎年恒例クリスマスイブ・パーティが催されるそうで、今年は私もご招待下さいました。都合で参加できないのが残念ですが、メアリーさんから聞いた毎年のパーティの様子からその雰囲気を想像しています。

 

(前回までのストーリーをお読みでない方は、ブログ「メアリーさんのピアノ#1」「メアリーさんのピアノ#2」「メアリーさんのピアノ#3」「メアリーさんのピアノ#4」「メアリーさんのピアノ#5をご覧下さい。)

 

先週、雪の中をメアリーさんのお宅までレッスンに行きました。その日のメアリーさんは、何となく気が散っている様子でした。

 

「クリスマスの準備で何かと忙しくて練習もあまり出来なかったわ」と、メアリーさんは肩をすぼめました。

 

メアリーさんのリビングには大きなクリスマスツリーが美しく飾りつけられ、周りにはプレゼントが置かれています。ピアノの上には大きなアンティークのクルミ割り人形が飾れています。思えば、ピアノの宿題の一部もクリスマスソング。

 

パーティーの準備のことが気がかりで気もそぞろ、という状態だったようです。

 

 

今年はいつも準備をやってくれる娘が忙しいから、私が代わりにパーティーの食べ物のオーダーをすることになったのよ」

 

 

「何人くらいの方がいらっしゃるのですか?」

 

 

「40人くらいよ」

 

 

「え?そんなに??」

 

 

メアリーさんにとってクリスマスは特別な日です。

 

クリスマスは誰にだって特別な日だ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、カソリック教徒であるメアリーさんにとって、それは宗教的に大きな意味があるのです。

 

「家族で集まるのはいいのだけれど、最近のクリスマスは、どんどん本来の意味が尊重されなくなっていて、ちょっぴり残念だわ」とこぼしながらパーティーの話をしてくれます。

 

 

「イブのパーティーでは、Sing-along (皆で唄うこと)をするのよ。それが毎年恒例なの」

 

 

「それじゃあ、メアリーさんも是非ピアノを弾かなくては」

 

 

「それはどうだか・・・私のピアノじゃ皆唄えないでしょ」と、笑います。

 

 

「それはともかくも、宿題の曲を聴いてみてもらえる?」と、宿題のクリスマスソングを丁寧に弾いてくれます。

 

 

考えてみると、メアリーさんが好きなクリスマスソングの多くは伝統的なもので、英語で「Traditional Christmas Carol」と呼ばれている種類のものです。

 

例えば、日本で(そして多分世界的に)最も有名な伝統的クリスマスソングの一つは、「きよしこの夜=Silent Night」でしょう。日本でもよく耳にする「もろびとこぞりて= Joy to the World」や「牧人ひつじを=The First Noel」などもTraditional Christmas Carols となります。

 

これらの歌の歌詞はキリスト誕生を讃える宗教的なものです。その多くは16世紀から19世紀くらいに作られたり発表されています。

 

メアリーさんにとって、これらの歌は神を讃えるための美しい歌であり、詩(うた)でもあり、すべてが特別なものなのです。美しい旋律や和声を持つ曲が多く、キリスト教徒でなくても音楽的に魅了される人は多いと思います。

 

一方、20世紀から多く発表されてきたクリスマスソングは、Contemporary Christmas Songsと呼ばれ、曲調や音楽のスタイルが変わってきているだけでなく、歌詞の内容にも大きな変化が見られます。Contemporary Christmas Songsの中では、その主役は神ではなくサンタクロースであることが非常に多いことに気がつきます。また、テーマが「クリスマスの情景」であったり「恋人」である場合もあります。

 

私の周りを観察すると、子供達の間ではこれらContemporary Christmas Songsは大変な人気です。小さい子供達は「ジングルベル」「赤鼻のトナカイ」「サンタが街にやってくる」などを好むことが多く、高学年になると「ジングルベル」は卒業して「ジングルベル・ロック」の方がいい、という子が増えます。中高生になると、「クリスマスソング?そんなのどうでもいいわ」という子も当然現れます。

 

この現象にちょっぴり愚痴をこぼしながらも、クリスマスを厳かに祝う気持で一杯のメアリーさん。自宅に集まった人達と楽しくクリスマスソングを唄う姿が目に浮かびます。

 

そんなメアリーさんの一番のお気に入りのクリスマス・キャロルは、「O Holly Night」です。 1847年にフランス人作曲家アドルフ・アダムによって書かれた曲です。これは私も好きなクリスマスキャロルの一つに必ずあげる曲で、中高年にはかなり人気の高い名曲です。

 

 

こちらのリンクから、Celtic Womanの歌声で披露されているこの曲を聴いてみて下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=cZ-8jYpa1-o

 

 

クリスマスには過ごし方は本当に多様ですね。これを機に、Traditional Christmas Carolsを探索するのも音楽好きの皆さんには楽しい過ごし方かもしれません。

 

 

メアリーさんと二人で、好きなクリスマス・キャロルの話題で盛り上がった時に出た曲の中で、日本では知名度が比較的低いものを数曲選んでみました。

 

 

お時間があれば是非チェックしてみて下さい。

 

 

O Little Town of Bethlehem

http://www.youtube.com/watch?v=mKzCRh5azoQ

 

O Come All Ye O Faithful

http://www.youtube.com/watch?v=45VGDNHJ4Zo

 

Oh Come, Oh Come Emmanuel

http://www.youtube.com/watch?v=bbjJxC9Atu0

 

 

 

 ★今回はクリスマスの為に予告と違う内容になりましたが、前回からの続きもまた近日中にアップします。皆さん、素敵なクリスマスをお過ごし下さい!

 

 

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